隔週刊になっちまってます。あるところで連載をはじめたから、っていう言い訳で良いわけ? ……うーむ。今週に入るまで先月末からずうっと雨続きのマドリーだったので、言葉もアイディアも湿りがちなのであります。
そんな湿った気分をふっ飛ばそう! とイソイソ出かける先は、ゲームセンター。じゃなくてその隣にある、マキナ場。今日も老若男女紳士淑女のみなさんが、眉間にシワ寄せて台と対峙しております。マキナとはすなわち、スロットマシーンのようなもの。ここマドリーでは、たいていのバルに1台、たいてい2台は置いてあり、お釣が溜まってポケットを圧迫しはじめた小銭をじゃんじゃか呑み込むようになっているのだ。
遊ぶのは、1回25ペセタからOK。マキナにはいろんな種類があるのだが、だいたいどれも、最初は同じ図柄が揃うと25ペセタが50〜2500ペセタくらいになるというゲームで遊ぶ。もちろんそこで払い戻しても良いのだが、それじゃあポケットの小銭が増えるだけの話。やっぱり札にして、財布を喜ばせてあげたいもの
だから、そんな同じ図柄が揃うことで手にする100ペセタごとの権利を1ポイントとして貯め、そのポイントを手に、よりギャンブル性の高い第2ステージへ進むことになる。ここで手にするかもしれない額は、上限なし。といっても、実際にはその日そのマキナに突っ込まれた額まで、ということになるんだけど。この第2ステージのつくりが、台によって大きく違う。
雀荘で知り合った我らへっぽこ夫婦、マキナが嫌いなわけがない。ともにパチンコは嫌いだったんだけど、それほど無機質なかんじもしないし、かかったら玉なんかじゃなく現金がわじゃわじゃ出てくるからパチンコより楽しいじゃん、なんてあまり説得力ないんだけどさ。
そんなこんなで今月某日、今年1年を占うマキナをしに出かけたのでありました。ちなみに去年は4月に大きく負けちまったので、そこで反省して年内マキナは自粛ということにしていたのだ。
久々のマキナ、しかも今年はストイックに生きると決めた私たち(金銭面でね)、「1ペセタでも負けたら、今年はもうマキナせんことにしゅうで」と固い約束をしてしまったので、おのずと緊張に身も心も引き締まる。まずは慎重に、台選び。
ダンナが得意な「SANTA FE」は、あちこちのバルで見かける、スタンダードな台。前面に描かれたメキシコの風景のように、比較的のんびりした、ギャンブル性は低い種類。負けが込むことはそれほどないが、その代わり勝ってもたいしたことはない。新年早々、そんな保守的なこっちゃいかんばい。
そうして選んだのは、未経験の台。第2ステージは、ルーレット仕様。玉が止まる場所によって、500ペセタかけることのシェフの気まぐれ倍率のお金が手に入るかもしれない。1/2の確率で、ゼロになっちゃうんだけど。
「じゃ、いきまひょか」 気合を入れて、まずは手持ちの500ペセタを入れてみる。お、けっこう回るじゃん。これでいこや。1.000ペセタを両替。あれ、回んなくなってきた。もう1.000ペセタ両替。あれ、もうないの? もう1.000ペセタ。 うそ、もうあれへんねや。 もう1.000ペセタ。あかん、俺ら完全に呑まれとるんちゃう? もう1.000ペセタだけ、両替しよか。
気がつくと、台に投資すること、5.500ペセタ。あちゃー、またやったかな。目の前では、20回ほど不発を続けたリーレットの最後の1回がまわっている。本日のシェフの気まぐれ倍率は1、2、そしてひとつだけが11倍。「まだお金あんの?」 「もうないわ。お前がまたビッグマックとか食うからやで」 「そんなん、あんたも食べてたやん」 「お前につられたんじゃ。ボケ」 「だってスーペル(Lサイズセット)にしようって言ったんは、あんたやったやんか」 「うるさいわ、ブクブクブクブク太りやがって」 「あー、あんた、ひとのこと言えんでー」 毎度おなじみの醜い争いが始まったところで、ンパカパッカカ〜と派手な音楽。あ、11倍に入っとる!
5.500ペセタ、迷わず払い戻し。音楽が鳴る中を、それをかき消すような音を立てながら100ペセタコインがわじゃわじゃ落ちてくる。まわりの台のひとが、チラとこちらに羨ましそうな視線を送る。ちゃうねんちゃうねん、これはわてらが突っ込んだ金やねん。やっとプラマイゼロやねん。
なんとか最後に取り返した5.500ペセタを財布に戻し、ほかの誘惑に負ける前にあわてて帰路へつく。家に帰ると、Kちゃんから電話。「一緒に買ったロテリア・デ・ナビダー(年末ジャンボ宝くじ)ね、払い戻しが当たりましたー!」
ということは、宝くじもプラマイゼロ、マキナもプラマイゼロ。 さぁ、この一年をどう占うべきか。……わからん。
しゃあないな、今週の日曜、またマキナ行くしかなかばいな。