紀行文 『人類最初の芸術、アルタミラへ』
【歴史】
アルタミラは、サンティジャーナ・デル・マルという人口約4.000の小さな町の高台にある洞窟。日本の社会の教科書でも、最初の方に出てくる名前だ。
世界中の歴史の教科書に登場するアルタミラの洞窟画は、紀元前約1万8千年〜1万3千年頃の旧石器時代にクロマニョン人が描いたもので、人類最初の芸術作品といわれる。アルタミラのあるカンタブリア州にはこの他にも同時代の洞窟壁画が点在しており、この一帯に古くから人類が住んでいたことがわかる。
1868年、とある猟師が偶然にアルタミラの洞窟を見つけだす。さらには1879年に、マルセリーノ・サインス・デ・サウトゥオラという郷土学研究者(あるいはプロモーターなど諸説あり)が、8歳の娘を伴って洞窟内に入り、壁画を発見。このとき娘が父親に"Alta mira!"「アルタ・ミラ」(上、見て)と言ったことからアルタミラと名づけられた。……という説があるが、博物館のスタッフと大学の美術史教授の話によると、真相は別らしい。もともと洞窟のある高台そのものが、「上から見る」という意味でこう呼ばれていたとのこと。真実なんてこんなもんさ。
1960年代半ばのスペインの観光政策によって、アルタミラの洞窟には、何度も新聞で取り上げられるほどに世界中から多数の観光客が押し寄せた。1985年、世界遺産に登録される。
【観光】
洞窟壁画は、現在一般公開されていない。しかし併設の博物館と、町の観光だけでも、充分に訪れる価値があるだろう。
約2万年の歳月に耐えてきた洞窟壁画だが、観光ブームによって急激に傷みがひどくなり、80年代からは入場者数を1日数十人に制限、さらに現在では一般公開が中止されるに至った。そのかわりに同じ敷地内に洞窟丸ごとのレプリカを作り、アルタミラ博物館として2001年にオープン。ガイドつきツアーで、壁画のできるまでや先史時代の文化を楽しみながら学べるようになっている。
また洞窟のあるサンティジャーナ・デル・マルは、スペイン人が「スペインでもっとも美しい村」として選んだ場所。穏やかな緑に囲まれて、中世そのままの、暖かい色合いの石造りの建物が並んでいる。中心はロマネスク様式の教会、コレヒアータ。町から洞窟までは約2kmの登り坂になるが、牛や馬、羊が草を食むのどかな光景と新鮮な空気を楽しみながら歩くのは、健康なひとならばさほど苦にならないだろう。
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博物館は入場時間を指定される