【歴史】
2本の川が合流する地点にあるアランフエスは、スペイン王家の離宮が作られた町。2001年、世界遺産に登録された。
ポルトガルまで続くタホ川の河畔に位置するこの地域からは、青銅器時代の遺物が発掘されており、かなり以前から人類が住んでいたと思われる。このタホ川、そしてハラマ川の恵みであたりは緑豊かで、乾燥したカスティージャの大地の中のオアシスのような存在だ。
中世、ここはサンティアゴ騎士団の領地だったが、やがてスペイン統一を果たしたカトリック両王の保養地として用いられるようになる。18世紀になって、現在まで残る王宮が完成した。
そんな静かなアランフエスの町で、1808年3月、民衆による暴動が起こる。ナポレオンのスペイン侵略の意図が明らかになったのに対して逃亡を図った当時のカルロス4世と王妃、さらには王妃の公認の愛人であった宰相ゴドイに対する蜂起であり、これによってゴドイは逮捕、カルロス4世は退位させられ、息子のフェルナンド7世が擁立された。しかし、この騒動の鎮圧を口実にナポレオンがスペインに侵攻、これに市民が抵抗してスペイン独立戦争が始まるのである。
1940年、ひとりの音楽家がこの地で素晴らしいコンサートを開いたという。彼こそ『アランフェス協奏曲』でこの地の名前を世界に広く知らしめた、ホアキン・ロドリゴであった。
【観光】
王宮と庭園、付随するいくつかの建物が公開されている。
王宮はエル・エスコリアル宮を手がけたフアン・デ・エレーラが設計したもので、18世紀に完成。内部はロココ様式を基調としている。中国風の陶器で彩られた陶器の間、アルハンブラ宮殿の一室を模倣したアラブの間など、華やかで優雅な部屋が続く。庭園にはカルロス4世の時代が建てさせた農夫の家があり、後にこの地の民によって王位を追われた王と王妃の豪奢な生活を窺い知ることができる。
また夏の期間中の週末は、マドリードとアランフエスの間に蒸気機関車「イチゴ号」が運行される。趣があるだけでなく、車内ではイチゴが配られるサービスもあり、観光客に人気が高い。タイムテーブルや予約については、出発駅のアトーチャ駅で問い合わせを。
【名物料理】
アランフエスは、イチゴとアスパラガスの産地として有名。
蒸気機関車の名前にもなっているFresa「フレサ」(イチゴ)は、アランフエスの名産品。もしメニューにFreson「フレソン」と書いてあれば、大粒のイチゴを意味する。もっともポピュラーな食べ方は、Fresa con Nata「フレサ・コン・ナタ」、イチゴに山盛りの生クリームをかけて食べるもの。家庭でも一般的に食べられていて、イチゴの時期は生クリームのスプレー缶が飛ぶように売れる。
Esparrago「エスパラゴ」(アスパラガス)も、イチゴと並ぶ名産品。Mahonesa「マオネサ」(マヨネーズ)を添えて出されることが多いが、日本と異なりクタクタになるまで茹でてある。それならRevuelto「レブエルト」(スクランブル・エッグ)などに調理してあるものの方が、歯ごたえが残っている。ちなみにグリーン・アスパラを天ぷらにするとすごく美味しいというのは、スペインに来てから発見した。旬はどちらも春から初夏。
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イチゴがけ用生クリームのスプレー缶