コルドバ / CORDOBA

メスキータ横の小道

【歴史】

 8世紀から11世紀まで、イスラム教国の後ウマイヤ朝の首都として栄える。「西方の真珠」と称された街。


 当時のイスラム教徒の勢力といったら、西はイベリア半島から東はインダス河畔、北はカスピ海に南はスーダンまでというすごさ。その栄華を今に伝えるのが、300年あまり首都として栄えたコルドバである。

 ダマスカス(現在のシリア)を首都とするウマイヤ朝がアッバース朝に滅ぼされた際、ウマイヤ朝のひとりアブド・アル=ラマン1世がコルドバに逃れてきて756年に後ウマイヤ王国として独立。最も栄えたアブド・アル=ラマン3世の時代(929年即位)にはこの町に、300のイスラム寺院をはじめとして宮殿や学校や図書館があり、人口も100万人を数えていたと言われる。後ウマイヤ朝が広く受け入れた留学生によって、イスラム世界を経て伝えられた古代ギリシャの思想などが、ヨーロッパ世界に伝えられた。13世紀、キリスト教の勢力下に。ちなみに現在の人口は約35万人。


 ちなみにコルドバは、哲学の町。ローマ時代には、暴君ネロの家庭教師として知られる哲学者セネカを、そしてイスラム教国時代にはアリストテレス翻訳で知られるアベロエスを筆頭にユダヤ教徒、キリスト教徒の哲学者を輩出している。現代では、欧州最大というマドリード・コンプルテンセ大学で教鞭をとる思想史の教授オルデン・ヒメーネスさんもコルドバ出身。(ほら、セネカと並べて書いといたよー)

 なお1992年のセビージャ万博の際に開通した新幹線AVEが停車するため、マドリードからの所要時間は1時間40分。充分に日帰りで訪れることができる。




【観光】

 コルドバという町自体が、イスラム文化の影響を多く受けたスペインを象徴するような、というかスペインでのイスラム文化の隆盛を語るうえで欠かせない、存在。メスキータを中心とする町の独特の雰囲気を、ゆっくり味わってください。このメスキータと歴史地区は、世界遺産に指定されている。

 最大のみどころはやはりメスキータ(回教寺院)だろう。後ウマイヤ朝を開いたアブド・アル=ラマン1世の命によって建設がはじめられたこのイスラム建築は、初代の王が権力を誇示するために拡張を重ね、国が絶頂期にあった987年にはすでに、長さ180m、幅130mという現在ほぼそのまま残る規模になったという。

 というわけで、さまざまな時代の建築様式が交じり合っている。古い部分には、ローマ時代の建物や西ゴート族の教会を転用した部分がある。ギリシャ風の柱頭もある。また、堂内を埋め尽くす赤と白で色分けされた交差アーチがもっとも印象的で、いかにもイスラム建築といった雰囲気だが、この色分けと二段アーチは、実はメリダ郊外にあるローマ水道橋に着想を得たものとされる。当然、スペインでしか見られない。

 また、イスラム教徒からこの地をいわゆるレコンキスタで奪回したキリスト教徒は、どこでもやっているように、このメスキータの中に交差廊を持つキリスト教のカテドラルを建てた。さらに詳しく見ると、16世紀前半に作られた仕切りの壁は複雑でケバケバしいゴシック様式、16世紀中頃に建てられた後陣は均整美が特徴的なルネサンス様式、16世紀末から17世紀に建てられた丸天井などはイタリア・ルネサンス様式、18世紀中頃になって完成した合唱壇は華美な装飾のバロック様式。あぁあぁ。でもそれが、スペインであり、コルドバなのだ、たぶん。


 メスキータ以外では、白壁が目に眩しいユダヤ人街の人気が高い。花の小路などで絵になる写真、というか絵はがきのような写真が撮れるだろう。

 なおアンダルシアで内陸なので、夏はとにかく暑い。気温40℃を超えることなんザラなので、観光は午後1時頃までと夕方5時以降にすることにして、日中はゆっくり食事をしたあとホテルでお昼寝するのがおすすめ。日没も10時くらいだったりするので、時間はたっぷりある。スペインの1日は、本当に長いのです。




【名物料理】

 アンダルシアの名物料理は、なんといってもGazpacho「ガスパチョ」、冷たいトマトスープ。あとは魚のフライなど。


 コルドバのガスパチョは、Salmorejo「サルモレホ」といい、通常のガスパチョよりもずっと濃くてトロトロ。やはり内陸に入って熱さがさらに尋常ではなくなるためではないかと思うのだが、うまく飲みきれない場合、遠慮せず水をもらって薄めて味わえばいい。

 そのほかに特徴的なのは、Mozarabe「モサラベ」風、という料理があること。モサラベとは、イスラム教徒の支配下にあったキリスト教徒のこと。このあとの時代、今度はキリスト教徒の支配下に入ったイスラム教徒のことをMudejar「ムデハル」と呼び、ムデハル料理というジャンルもあるらしい。


 ちなみにメスキータの前にあるレストランEl Cabaalo Rojo「エル・カバジョ・ロホ」は、ガイドブックにも必ず紹介されている有名店だが、いつ行っても素晴らしい。地元出身の知人も、常にこのレストランを勧めている。デザートがワゴンサービスなのも、けっこう嬉しい。軽く食べたいときには、ここの1Fのバルを利用するのもおすすめ。目印はその名の通り、赤い馬の看板。控えめに出されているので、お見逃しなく。


通常のガスパチョも日本のよりとろみがある。これは自家製

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