クエンカ / CUENCA

崖上の町(手前は鉄橋)

【歴史】

 2本の川に挟まれた断崖の上に建つ町は、ラ・マンチャの平原が山地に変わりゆく境目でもある。難攻不落の要塞として、軍事上重要な意味を持つ町であった。


 最初にこの地に定住したのはケルト・イベロ族。トレドと同じくイスラム教徒の勢力下に入った後、タイファという小国に支配されるが、12世紀にキリスト教徒によりレコンキスタされた。中世は、主に畜産物の交易で町がもっとも繁栄した時代。当時の建物が、現在もそのまま残っている。

 難攻不落のこの町は、19世紀の王位継承戦争であるカルリスタ戦争の緒戦で、王党派(ドン・カルロス派)のカブレラ将軍が攻め落とせなかったほど。さらには20世紀のスペイン内戦では、ほぼ最後の時まで共和国政府(人民戦線)勢力下に残った場所として知られる。


 余談をふたつ。クエンカが俄然脚光を浴びたのは2004年、皇太子夫妻の新婚旅行先のひとつとなったため。まるで、国王就任を告げる中世の儀式のようだが、おかげで、マドリードからの道がいきなり整備された。またクエンカの周辺の茫漠とした大地はハリウッド映画のロケに使われることもあり、数年前にはピアース・ブロスナンが007シリーズの撮影のために滞在した。ホテルのスタッフによると「『007』の最新作だよ」ということで、いろいろ調べたのだがどの作品になるのかはっきりしない。なお007は、スペイン語では「セロ・セロ・シエテ」と呼ばれる。




【観光】

 中世のままの街並みは、世界遺産に登録されている。断崖に渡される鉄橋の上に立つと、谷間を吹き上げる風が頬を打つ。そして眼前には、目が眩むような光景が。高所恐怖症の方はご注意あれ。

 クエンカでもっとも有名なのは、14世紀に王家の夏の居所として建てられた宙吊りの家。角度によってはバルコニーが断崖にせりだすように見え、不安定な、なんとも不思議な印象を与える。現在、内部は抽象芸術博物館になっており、スペイン人作家の作品が展示されている。

 他の見どころとしては、13世紀末のゴシック様式のカテドラルや、町の高台、アラブ人の要塞跡に建てられたマンガナの塔などがある。パラドールは鉄橋を渡った谷の反対側にあり、宙吊りの家をはじめ町を一望することができる。。




【名物料理】

 山地のはじまりでもあるクエンカは、少し郊外に足を伸ばすと、ラ・マンチャ地方としては珍しく豊かな植生が見られる。そこに住む野生の動物、つまりジビエ料理が名物。


 Ciervo「シエルボ」はシカ肉で、Conejo「コネホ」はウサギ、とくにLiebre「リエブレ」と表記されれば野ウサギとなる。アラブ文化の名残が強く、他の地域に比べて香辛料をふんだんに使うのも大きな特徴で、代表料理のMorteruelo「モルエルテロ」は、豚のレバーと鶏肉、ウズラ、ウサギとノウサギなどを叩き潰し、香辛料とパン粉をまぶして煮込んだもの。

 ラ・マンチャ地方は、ワインとチーズは名産品。ワインは、原産地呼称制度認定D.O.Valdepen~as「バルデペニャス」かD.O.La Mancha「ラ・マンチャ」の赤。チーズは羊乳をじっくり熟成させた、同じく原産地呼称D.O.Queso Manchego「ケソ・マンチェゴ」。どちらもしっかりとした大地の味がする。

 食後酒として地元で一般的なのはResoli「レソリ」。ややクセのある焼酎のようなものだが、消化を助けると言われている。


宙吊りの家を模った、お土産用レソリ

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