ラ・グランハ・デ・サン・イルデフォンソ
 / LA GRANJA DE SAN ILDEFONSO


離宮

【歴史】

 18世紀初頭の王、ブルボン家のフェリペ5世が、自ら生まれたフランスのヴェルサイユ宮を模して作らせたと言われる離宮。


 スペインの王室は、16世紀に神聖ローマ帝国皇帝となったカルロス5世からオーストリア・ハプスブルグ家出身となり、その息子フェリペ2世(当時スペイン領になった「フィリピン」の語源)の時代など栄華を誇ったのだが、近親縁組がたたって(らしい)ついに1700年に後継が途絶えた。そこに周辺諸国の様々な思惑がからんで、翌年、スペイン王位継承戦争勃発。結局1713年のユトレヒト条約で隣国フランスからブルボン家のフェリペ5世(太陽王ルイ14世の孫)が王位に就くことになるのだが、この間にすっかりイギリスがジブラルタルを占領していたためにそのまま割譲する羽目になる。あぁ今日まで残る禍根はこうやってできたのだった。

 その後、本家フランスでフランス革命が起こり、みんなギロチンにかけられてブルボン王家が途絶えたのを横目に、スペインのブルボン王家は、1931年の共和国成立から75年のフランコ死亡までの空白はあるものの、現フアン・カルロス国王まで脈々と続いている。ちなみにスペイン語ではブルボンは「ボルボン」と発音する。





【観光】

 「小ヴェルサイユ」と呼ばれる離宮が、町の中心。いや、町はないのかもしれない。宮殿と、観光客向けの小さな商売だけがある、静かな場所だ。

 離宮は、マドリードから行くと、冬はスキー場にもなるナバセラーダ(車で標高1800mくらいまで登る)を越えて、殺伐とした平原が広がるカスティージャの大地のわりにはかなり緑が豊かになったなぁと思うあたりにある。たしかに、スペインっぽくない、北ヨーロッパのような雰囲気。行ったことないけど。離宮を中心とする小さなこの町、人口は約5千人。

 ただ、私はヴェルサイユに行ったことがないので比べることはできないが、ロココ調の華やかな宮殿を思い描いて行くと、たぶんがっかりするだろう。たしかにシャンデリアやタペストリーは豪華だし、手入れされた庭園噴水なども悪くないのだが。1918年に火事があって少なからぬ部分が焼失したというので、そのせいかもしれない。ただ、マドリードから気分転換の軽いドライブ先として考えるなら、わりと好きなところである。





【名物料理】

 ここはカスティージャ地方。はい、基本は肉を焼く、あるいは煮る、です。


 ラ・グランハはセゴビアから11kmと近く、というよりもセゴビア県内になる。ということで、名物というか美味しいのはやはりCochinillo「コチニージョ」(仔豚)。乳呑み仔豚の丸焼きについては、セゴビアのページを参照してください。

 飲み物も同じく、Ribera del Duero「リベラ・デル・ドゥエロ」のワインか、割安なテーブルワインで。ただし、ここは町として発展したところではないので、本当に美味しいものを正当な価格で食べたいなら、セゴビアまで足を伸ばすのがおすすめ。でも離宮横のレストランCanonigo「カノニゴ」のオーナーの娘のラケルちゃんは日本語を勉強していてとても良い子だし可愛いことを、参考までに伝えておきます。ただし、ふだんはマドリードで勉強してるので、いつも会えるとは限りません、念のため。



ラ・グランハのすぐ近く、道路を横断していた最高級のイベリコ豚

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