パンプロナ
PAMPLONA / IRUN~A

紀行文 『牛追い祭りの参加要項』
『ヘミングウェイ的であること、あるいはまったくの無関係』


ヘミングウェイ像

【歴史】

 ローマ時代に建設された町は、現在ナバラ州の州都。近郊にピレネー山脈や川があり、自然に恵まれた、美しく静かな都市。年に1度だけ、その静寂が破られる。


 紀元前74年、ローマ帝国の将軍ポンペイウスによって町が作られたと言われる。後の時代にはキリスト教三大巡礼道のひとつサンティアゴ巡礼道の宿場町として、またナバラ王国の首都として栄えた。

 1926年、一冊の本が、パンプロナの名前を世界中に知らしめた。アメリカ人作家アーネスト・ヘミングウェイの処女長編、『日はまた昇る』である。「ロスト・ジェネレーション(失われた世代)のバイブル」と呼ばれたこの作品でヘミングウェイは作家として一躍有名になり、彼が愛したパンプロナの牛追い祭りにもまた、アメリカ人を中心に世界中から観光客が訪れるようになった。7月上旬、普段は静かな町パンプロナは、サン・フェルミン祭の熱狂で沸き返る。





【観光】

 『牛追い祭り』として知られるサン・フェルミン祭の時期、町には世界中から観光客が押し寄せる。

 なにかあると市民が集まるのは、市役所前の小さな広場。この市役所は17世紀のものを再建した3階建ての小さな建物だが、紋章やテラスなどが美しく一見の価値がある。またプラテレスコ様式のファザードを持つナバラ美術館では、この地域の歴史に関するものを展示しており、ロマネスク時建築やゴヤの絵などを見ることができる。

 しかし、なんといってもパンプロナといえばLos Sanfermines「ロス・サンフェルミネス」(サン・フェルミン祭)。7月6日から1週間にかけてのこの祭りの期間中は、毎朝Encierro「エンシエロ」(牛追い)が行われ、テレビでも全国に生中継される。世界中から勇気を試す輩が参加するこの牛追いは、パンプロナの町外れから闘牛場までを闘牛用の獰猛な牛に追われながら走り抜けるもので、毎年多数の怪我人が出る。

 ヘミングウェイはこの祭りをこよなく愛し、パリ在住時代には5年連続で足を運んだと言われる。現在も『日はまた昇る』を片手に、多くの観光客が祭りの期間に訪れる。宿泊施設は限られているので、もし祭り期間中に滞在するなら早めの手配が必要。予算に余裕があれば、通りに面したアパートのテラスを借りて、祭りを見物することもできる。


 また近郊には、10世紀に建てられたハビエル城がある。これは16世紀に日本を訪れた宣教師フランシスコ・ザビエルが誕生した城で、1986年より博物館として一般公開されている。





【名物料理】

 山と川と豊かな土地に恵まれたナバラ。素材の良さに加え、フランスに近いことから調理法も洗練されており、料理とワインが美味しい場所として有名。


 ナバラの代表料理は、Trucha a la Navarra「トルチャ・ア・ラ・ナバラ」(マスのナバラ風)。これはナバラ名産のマスの腹に、生ハムを詰め、さらに生ハムの脂でソテーしたもの。生ハムの塩分と香気がマスにしみわたって非常に美味しいとのこと。またこのあたりは、Esparrago Blanco「エスパラゴ・ブランコ」(ホワイトアスパラ)やAlcachofa「アルカチョファ」(アーティチョーク)、Cogollo「コゴージョ」(レタスの一種。苦味がある芯のあたりを食べる)など野菜の産地としても知られる。

 ヤギも多く飼われているため、Cabrito Asado「カブリート・アサード」(仔ヤギの直火焼き)の素朴な味わいも捨てがたい。そしてデザートには同じヤギの乳を使ったCuajada「クアハダ」(ヨーグルト、というか凝乳)があっさりしていておすすめ。甘みが足りない場合はMiel「ミエル」(ハチミツ)がけにしてもらうと良い。


 原産地呼称制度認定を受けているD.O.Navarra「ナバラ」は、かつてロゼワインの産地として知られてきたが、近年は積極的に赤ワインを生産しており、評価もなかなか高い。この土地の豊かな自然を反映するように、ワインの味も強すぎず、一般的にクセが少なくて飲みやすいタイプが多い。



クアハダは素焼きの容器入り

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