リアス・バハス
RIAS BAJAS / RIAS BAIXAS

タンカー沈没時の現地レポート
『たいへん! ムール貝を、重油が覆う』



【歴史】

 ケルト文化が現在まで色濃く残る地域。現在は、ヨーロッパ最大の魚介類の養殖地として知られている。


 リアス・バハスは、直訳すると「下の方の入り江」。ガリシア地方西南部、ポンテベドラ県の海岸一帯を示す。入り組んだ美しい海岸線は、まさに「リアス式」の語源となった。重要な町は、ポンテベドラ(人口6万5千)、ビゴ(人口30万)など。

 歴史は古く、青銅器文化時代の遺物が発掘されている。また古くからここに住んでいたケルト文化の影響がいまなお強く、遺跡も点在する。ちなみにビゴを本拠地とする強豪サッカーチームの名称「セルタ・デ・ビゴ」の「セルタ」は、スペイン語で「ケルト」という意味。民族楽器のGaita「ガイタ」も、アイルランドのバグパイプに酷似する。

 河口に位置するビゴはスペインでもっとも古い漁港であり、現在もヨーロッパはもちろん世界中に新鮮な魚介類を輸出している。リアス式の穏やかな湾内で行われる貝などの養殖は、ヨーロッパ最大。

 2002年末に沖合いでタンカーが沈没、重油が流出して海産物への深刻なダメージが懸念されたが、現在は復興した。





【観光】

 カーブを曲がるたびに景色が変わる複雑な海岸線をドライブし、気の向いたところで車を止めてシーフードを食べられたら最高。またポンテベドラは、中世の趣が残る、実に可愛い町である。

 リアス式の語源となった海岸線は、湾内では穏やかな波が松の根元を洗っていたりして、とても日本的な情緒溢れる景色。一方で、Rias Altas「リアス・アルタス」(上の方の入り江)との境となるフィニステレ岬に立つと、見渡す限りの大西洋から強い風が吹き付けてきて、世界の果てに来たような印象を抱く。海岸線にはビーチと小さな町が点在し、レストランでは地元の魚介類を食べさせる。

 また、沖合いの小さな島々は野鳥の飛来地として知られており、国立自然公園に指定されている。

 ポンテベドラはガリシアの典型的な町並みを残していて、ゴシック様式のサント・ドミンゴ修道院や、プラテレスコ様式のファザードを持つサンタ・マリア・ラ・マジョール教会などがある。しかし、バグパイプの音が流れてくる町の、小さなアーケードの下をぷらぷら歩いているだけでも、充分に雰囲気を楽しめるだろう。ケルト文化に興味があれば、ポンテベドラ博物館に、発掘された青銅器時代の遺物などが展示されている。

 ビゴは地方の中核都市といった雰囲気だが、町が大きい分、手頃なシーフード・レストランを探すには良い。また、川を越えればそこはポルトガル、というのも魅力的。





【名物料理】

 ヨーロッパに輸出する貝類、エビ類、カニ類、それにタコが最大の名物。さらに、スペインでもっとも美味しいといわれる白ワインの産地でもある。


 サンティアゴ巡礼道のシンボルともなっているVieira「ビエイラ」(ホタテ)を筆頭に、貝類ではOstra「オストラ」(カキ)、Mejillon「メヒジョン」(ムール貝)、Percebe「ペルセベ」(エボシガイ、カメノテ)、Almeja「アルメハ」(アサリ)などなど。旬のものなら、本格的なシーフード・レストランに行かずとも地元客の多いバルに入って頼めば、新鮮なものが安い値段で食べられる。ちなみに私が行ったとき、ムール貝12個で2.95ユーロだった(2002年末)。

 さらには、Centollo「セントージョ」(クモガニ、ヨーロッパケアシガニ)、Buey del Mar「ブエイ・デル・マル」(大ハサミガニ)などのカニ類、Bogavante「ボガバンテ」(ロブスター)、Langosta「ランゴスタ」(イセエビ)、Langostino「ランゴスティノ」(クルマエビ)、Cigara「シガラ」(テナガエビ、ヨーロッパアカザエビ)、Gamba「ガンバ」(シバエビ)などエビ類も種類が豊富で品質も良い。


 料理としては、ガリシアの名前が付いたものでもっとも有名なのがPulpo a la Gallega「プルポ・ア・ラ・ガジェガ」(タコのガリシア風)。タコを煮てぶつ切りにしたものにアラ塩とパプリカとオリーブオイルをかけ、ジャガイモとともに木の器に盛ったもの。その次が、寒い季節の定番Caldo Gallego「カルド・ガジェゴ」(ガリシア風スープ)で、塩漬け豚や生ハムの骨、牛肉などからていねいにとったブイヨンで、地元のキャベツ、カブの葉、インゲン、ヒヨコマメ、ジャガイモなどを煮たもの。1皿めにはスープだけ、2皿めに肉や野菜の具を食べる。


 ここのD.O.Rias Baixas「リアス・バイシャス」は白ワインの名産地。とくにAlbarin~o「アルバリーニョ」種100%の高級ワインは、フレッシュ、フルーティ、品があってキレがある、スペイン産白ワインの最高峰。やや内陸部になるD.O.Ribeiro「リベイロ」の白は、大ぶりの猪口としか表現のしようがない白磁の器で呑むのが楽しい。



プルポ・ア・ラ・ガジェガ

スペイン情報のトップへ