【歴史】
ローマ遺跡が残る町。中世の趣きも残る町。イスラムの影響をすっ飛ばして、ローマから中世カトリック世界の雰囲気を感じるのに最適の、ロマンチックな町だ。
町ができたのは紀元前8世紀、ケルト人の手によるという。それから紀元前1世紀にローマの町となり、巨大な水道橋などが作られた。行ってみればわかるがセゴビアの町はかなり急な丘の上にあり、そのすぐ下には川がぐるりと町を囲むように流れていて、城塞の町として発展するために良い条件が整っているらしい。
やがてキリスト教の勢力下に入った時代、12〜13世紀には商工業でも栄えたといい、当時のロマネスク建築が多く残っている。さらに続く時代から町のいちばんの先端に作られたという王城では、15世紀に、後にスペイン統一を実現したカトリック両王の「女房」の方、カスティージャ王国のイサベル女王が即位式を行い、さらにはスペインが太陽の沈まぬ帝国だった時代の王フェリペ2世が結婚式も挙げている
【観光】
町を象徴するのは、丘の入り口に蓋をするように延々と続く巨大なローマ水道橋と、町のいちばん奥、断崖の上に建つ王城。その途中にカテドラルがあり、町を歩いていて飽きることはないだろう。
1世紀から2世紀にかけて作られたというローマ水道橋は、高さ約28m、全長728m、アーチが167で2層建てという巨大なもの。Renfe(国鉄)駅からバスで町に入れば、その水道橋のだいぶ先のあたりを見ることができる。つい100年ほど前まで実際に水道橋として使われていたし、地元のひとの話では現在もここにパイプを通して水道橋の役割を果たしているのだという。
町の入り口でありこの水道橋に見下ろされるアソゲホ広場には、セゴビアがローマによって建設されたということを示す、ロムルスとレムス兄弟に乳を呑ませる牝狼の青銅像がある。これはローマの建設の起源となった(という)ローマ神話に因むもの。
王城(アルカサル)の現在の姿は、大火事の後の19世紀に再建されたもの。古城ウェディングの場所として人気があるようだが、それもそのはず、ディズニーのアニメ『白雪姫』の城のモデルになったという優雅な姿である。この優雅な姿、つまり上記の写真のような姿を見るには、崖下か少し離れた場所からとなる。タクシーに頼めばぐるりとまわってくれるばかりでなく、たぶん頼まなくても写真に適した場所で車を停めてくれる。
城の内部は、塔の上まで登ることができる。また、スペイン中世のペドロ1世エル・クルエル「残酷王」を主人公にした漫画、『アルカサル-王城-』(青池保子)を読んだことがあるひとには見逃せないものもある。まず、歴代の王の肖像が並ぶ部屋。ペドロ1世と、宿敵トラスタマラ家のエンリケ2世の姿がある。そして、廊下のステンドグラスに大注目。漫画ではまだ登場しない(いつ再開するんだ?)、エンリケ2世がペドロ1世と息子のアルフォンソ(たしか)を殺す場面が美しい色彩で描かれているのだ。というのもこの城は、エンリケ2世以降のトラスタマラ王家の居城となり、やがてイサベル女王を生んだ場所。ちなみにエンリケ2世の息子ペドロ王子は乳母がうっかり城壁の上から落っことして死亡してしまい、乳母も後を追って飛び降り自殺したと伝えられている。
また、ロマネスク様式の建築としてラ・ベラ・クルス教会、サン・エステバン教会、サン・ミジャン教会などもあり、後世の建築にはあまり見られないその質素な美しさはなかなか魅力的。またそんな「後世の建築」の代表のようなカテドラルはスペイン最後のゴシック建築らしくとても華やかで、これはこれでやっぱり美しい。
【名物料理】
なんといっても、仔豚の丸焼き。ちなみにかつてダウンタウンDXが司会するテレビ番組で、俳優の中尾彬も、「世界でいちばん美味しいと思うもの」かなにかの質問に「セゴビアの仔豚の丸焼き」と答えていた。
仔豚の丸焼きは、Cochinillo Asado「コチニージョ・アサード」。どれくらい仔豚かというと、まだ乳呑み仔豚の状態、生後3週間までのベイビー・ピッグ。これをまっぷたつに割いたものを、ほんの少しだけ塩をして、オーブンで2時間とかかけてじっくりと焼き上げる。1人前は1/6匹。皮は北京ダックのようにパーリパリ、その内側の肉は、肉というよりもまだ柔らかい脂で、生のフォアグラのようなとろんとろん。その証拠に、豚を切り分けるときにナイフではなくて、お皿を使う店もある。皿でも切れる柔らかさ、なのだ。とても美味いのだが、私は2年に1度くらい食べればいいかと思うようなボリューム。もし、肉っぽいところが好きなら、脚の部分をもらうといい。Pierna「ピエルナ」といえば、そのあたりが出てくるはず。もちろん脂が好きなら、迷わず腹の部分を。
ワインは、カスティージャ・イ・レオン州なら、もし産地を指定するなら私は迷わず高品質なRibera del Duero「リベラ・デル・ドゥエロ」、たまにもっとしっかりした強さを楽しみたいならToro「トロ」、そうでなければお店のいちばん安いクラスのおすすめワインが出てくるVino de la Casa「ビノ・デ・ラ・カサ」(ハウスワイン)を頼む。ビノ・デ・ラ・カサで、充分に美味しいです、たぶん。家でふだん飲んでいる1本500〜1000円のクラスはほとんどこれ。
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コチニージョ・アサード