【歴史】
紀元前からあらゆる民族の支配を受けてきたが、13世紀にアラゴン王国に征服されたことにより、カタルーニャ文化が現在まで強く残ることになった。
でもバレンシアのひとは、カタルーニャといっしょくたにされるのを嫌う。関東でも関西でもない、名古屋みたいなところ、なのだろうか。
フェニキア、カルタゴ、そしてローマと、地中海の町によくある歴史を経て、スペインらしくイスラム教徒の支配下に。さてそこで登場するのが、英雄エル・シッド。もとはカスティージャの貴族だったのが、政治的理由から追放され、なんとイスラム王国の傭兵隊長に。さらに和解、訣別を経て、1094年にバレンシアの支配者になったというツワモノ。たぶん口ずさんでいたのは「俺は、一人でも軍隊」だろう。(「俺軍、暁の出撃」、↑THE HIGH-LOWS↓)。ちなみに彼、スペイン語の最古の文学の主役でもある。
その後、13世紀からはカタルーニャ文化圏に入る。現在この一帯で広く話されているバレンシアーノは、公用語でなく方言とされているが、カタルーニャ語の影響が強い。といっても、バレンシアから見るとカタルーニャは自分たちの土地を征服した憎い相手でもあり、カタルーニャへの対抗意識も強い。結果、バレンシア出身の名テニス選手フアン・カルロス・フェレーロなど、バレンシアーノも話すのだが、アレックス・コレチャ、アルベルト・コスタ、カルロス・モジャ(マジョルカ島出身)などカタルーニャ人の中に入ると、カスティージャ語(標準スペイン語)しか話さなかったりする。げにスペインの地域性は複雑なのだ。
現在、バレンシアは人口約75万で、スペイン第3の都市である。
【観光】
旧市街は小さく、隅から隅まで歩いてまわることができる。旧市街の入り口には、中世の城門が残っている。街路樹はオレンジで、ぷらぷら歩いているだけでなんとなく爽やかで気持ち良い街。3月に行われる壮大な火祭りは、スペインに春の到来を告げる風物詩。
火祭りはFallas「ファジャス」といい、サン・ホセの祝日である3月19日に行われる。サン・ホセとは聖ヨセフ、キリストのこの世での父親(聖母マリアのダンナさんのこと。彼が大工さんだったことから、もともとこの日に大工さんたちが自分たちの守護聖人の聖ヨセフに祈る目的でカンナ屑なんかを燃やしたのがはじまりで、現在のカラフルな色彩を施した張子の人形を盛大に燃やしてまわるという祭りになったのだとか。ちなみにこの時期は、地元在住の友人も言っているが、観光客と同時にスリがやってきて、ちょいと治安が悪くなってしまう。どうぞご注意を。
また、メルカド・セントラル(中央市場)の向かいにあるラ・ロンハは、世界遺産に登録されているゴシック様式の建物。旧市街を散策しているとたぶん意識してなくてもこのあたりは通り過ぎるので、そのとき開いていたら入ってみてもいいかも。入場無料。
2003年には、世界最大規模の水族館がオープンした。オセアノグラフィック、街から少し外れたところになるが、バスなどですぐ行ける。
ちなみにスペイン人のバレンシアでの過ごし方としては、ビーチでのんびり、が、いちばん多いだろう。マドリードから最も近い海岸となるため(距離は350km、東京−名古屋間)、春から秋まで週末はマドリードからの客でビーチはごった返す。もちろんバレンシア街道(国道3号)はひどい交通渋滞になるので、バスなどで陸路の移動を考えているひとは気をつけてください。
また、観光と食事を兼ねて、ぜひ足を伸ばしてみてほしいのが、バレンシアから南に10kmと少しの場所にある、アルブフェラ湖。パエージャ発祥の地と言われる湖畔のエル・パルマールには、素敵なレストランがたくさんある。
【名物料理】
なんせパエージャ発祥の地。米料理が非常にうまいという、日本人の胃袋にとても優しい土地柄となっている。
近郊のエル・パルマールが発祥の地ということで、もちろん押しも押されもせぬ名物料理は、Paella「パエージャ」。Mixta「ミスタ」(ミックス)は、鶏肉とエビと貝と野菜などを一緒に煮込んだもの。A la Marinera「ア・ラ・マリネラ」は、魚介類だけのパエージャ。
日本ではあまり知られていないが、パエージャの亜流というか発展系も多いので、ぜひ機会があれば試してほしい。ひとつは米ではなくショートパスタで作ったFideua「フィデウア」。もうひとつはArroz a la Banda「アロス・ア・ラ・バンダ」(ブイヤベースの汁で煮込んだおじや)で、パエージャより水分が多く、油分が少ない。おじやのため見た目は淋しいが、味はかなり良いことが、これまでの経験上多い。また、Arroz Negro「アロス・ネグロ」(イカ墨のパエージャ)もポピュラーな一品。
この地方のD.O.(原産地呼称制度認定)Valencia「バレンシア」は、辛口の白ワインと、デザートワインとしても親しまれているMoscatel「モスカテル」(マスカット)種の甘い赤ワインが有名。また近くではムルシア州のJumilla「フミージャ」、Yecla「ジェクラ」の熟成タイプの赤が、この数年注目を浴びている。
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パエージャ鍋と、専用の五徳(手前)