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ch.16 <<こんなの乗ってみたい。
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[ 12.Ago.2005 ]
Vol. 16 日本の真珠
8月16日、パルマ杯とかいうシーズン前の親善試合が行われた。対戦相手は、ドイツ・ブンデスリーガのヘルタ・ベルリン。この試合は地元テレビ局でも生中継すると言っていたので、まぁテレビで見ればええわな、と思っていた。で、夜10時にダンナと私はソファにどっしり腰かけてテレビを見始めたのだが、すぐに自分たちの誤りに気がついた。「ソン・モッシュ、行けば良かった〜」。試合前に2005−2006シーズンの選手紹介があるってのは聞いてたけど、「ハリウッド風のショー」(これはコメンテーターが使った表現)だとは思ってもみなかったのだ。正直言うと、「ハリウッド風」というのはちょっと言いだろと思うけど、ライトが消されたスタジアムの中、選手がスポットライトを浴びて一人ずつピッチに現れたり、アカペラのグループがクラブの歌を歌ったり、花火が上がったり、ファンにサイン入りボールが贈られたり、となかなかの演出がされていた。
選手はそれぞれ、ボクシングやプロレスの「赤コーナー、なんたらなんたら〜!」ってな雰囲気で、コメントつきで紹介されていく。で、大久保選手を紹介するコメントが良かった。「ペルラ・デ・ハポ〜ン!!」。直訳すると「日本の真珠」。辞書を引いてみると、「ペルラ」には「真珠」という意味の他に、「大切な人、得がたい人」という意味もある。これだわね、これ。得がたい人ですわ。と学んだものの、ヘアースタイルを変えてよりワイルドな感じになった大久保選手と、真珠という組み合わせがどうもミスマッチな感じがして、ミキモトのお膝元出身の私は感慨深かったのだ。
試合は3対2でマジョルカは負けてしまったのだが、内容的にはそう悪くなかった気がする。と言っても、にわかファンが言うことだから、あまり当てにならないかもしれない。実際、翌日の地元新聞では、『以前の悪癖をもったまま再登場』と見出しが出ていた。だが2点のうち1点は我らが大久保選手のゴールだ。来シーズンに向けて、新しい選手が続々と入団している中、16日の試合で輝いていたのが、『ガルゴ』(グレーハウンド犬)ことホナス・グティエレス。そのあだ名通りの俊足プレーヤーだ。大久保選手とガルゴがいることによって、攻撃にスピードが出る。この二人を一緒に試合に出していくと、かなりいいように思うのだが、これまたにわかファンが言うことだから、あまり当てにならないかもしれない。
『ペルラ』やら『ガルゴ』と呼ばれて華々しく活躍している人々の話をした後でなんなのだが、『チーナ』(中国人)というのが、しつけがなっていないスペインのお子様たちが私に向けることのある呼び名だ。東洋人全般に対する、いくらか侮蔑的なニュアンスを含んでいることが多い。というわけで、隣町を娘と二人で歩いていた時、いかにも悪坊主といった子供たちのグループが、私たちを見ているのに気づいて、あー嫌な感じ、また『チーナ』って言ってくるな、と思った。と、その瞬間、奴らは「オークボ!」と叫んだのだ。はぁっ?不意を突かれて驚いていると、またまた「オークボ!」。そして例の「ヨーシート・オクーボ♪」という応援歌を歌いだした。あのね、どうしたら上手く言い表せるかわからないので、よく聞く表現を使ってしまうのだけど、ホント、心の中に温かいものがじわーっと広がってきたわね。「大久保選手のおかげやねぇ」、帰りの車の中で娘と二人、しみじみと喜びをかみしめた。
さあ間もなくシーズン開幕。ピッチを走り回る大久保選手の姿を早く見たい。